今何時か分からなかったので【闘病記④】

急性期

倒れてから2日目の朝、

またしても尿意と陽射しで目がさめる。

アラームは不要だ。

この部屋に他に誰かいるか分からなかったから、

怖くてアラームなんぞ怖くてセットできない。

もしいつものめざまし音、

ピタゴラスイッチの
OPテーマ曲
が、
けたたましい音量で
鳴りようもんなら
はた迷惑きわまりない。

 
 
私は早朝5時ぐらいから
だいたい10分おきぐらいスヌーズ設定で

目覚ましアラームが鳴るようセットしている。

そう毎朝早朝5時ぐらいから、

寝ては起きてを7時ぐらいまで繰り返す

トチ狂った起床方法を
ここ最近ずっと毎朝繰り返している。

わざとアラームを早目に設定して
あえて二度寝を楽しんでいる方も
おられるだろう。

いわばそれの
究極版

である。

しかし入院生活に時計は必須である。

スマホが未だ
行方不明のため

今何時か分からない。

スマホの行方が気になったが、
ナースさんに聞いても

「知らない。預かっていない。
ご家族さんが持ってるのでは?」の一点張り。
 
起きている間は、
まったく時間が分からない生活
2日目。

五歳にもなって
未だ時間の概念が存在しない
うちの娘のような気分である。

彼女は日々
こんな気分で生活しているのか。

本当に今何時なのか気になった。

ずっと、サザンの
勝手にシッドバッドが
頭の中でエンドレスで流れている。

知りたくて知りたくて
ずっとモヤモヤする。

なぜならおそらく
今日は金曜日のはず。

金曜日は朝9時までに
住んでいるマンションの
ゴミ置場に資源ゴミを
持っていかないといけないからだ。

出し遅れたら来週末まで
家の資源ゴミがキャリーオーバー発生。

我が家は金曜日の朝頃には、

伊東園の麦茶のペットボトル2リットル、

近所のスーパーのPBの
激安缶チューハイ
500ミリリットルの空きカンで
資源ゴミがパンパン。

なんなら資源ゴミ用のごみ箱の蓋が
閉まりきらない。

金曜日に資源ゴミ廃棄は急務なのである。

それを朝9時までにまとめておくのが
毎週金曜日の私の日課のひとつである。

このゴミ出しを覚えているので
曜日感覚は絶対狂わない。
家のゴミ出し担当だけが
習得できる。

まったく使えないスキル
ファイナルファンタジーの
「しのせんこく」と

強バトル戦の
「リジェネ」ぐらい
使えない。

しかしこの曜日感覚狂わないスキルのおかげで
自分が大好きなTV番組


水曜日のダウンタウンを
未だかつて見逃した事がない

以外と役に立った

あまりにも時間が気になったので、
窓から強く差し込む陽射しにむかって
手を直角に手をあげる。

そう、小学校の時に習った日時計である。

これで時間が分かると分かったのだ。

手の影がへの字になった。

だいたい朝の8時過ぎだと分かった。
 
小学校の時の
理科の授業で習ったサバイバル術。

まさか30年越しで
こんなところで役に立つとは。

当時の小学生の私も
夢にも思わなかっただろう。


時間も分かったところで
もう一眠りしようと枕に頭の体重をのせる。

すると

「お食事の時間ですよー」

と、女性の声。

慌ただしくベッドに机が取り付けられる。

看護師さんがトレーを持って来た。

トレーが目の前に置かれる。

 時間的に朝食なのだろう。

さっきオシッコした
この場所で
食べるのか。

本来ならこの時間は息子を叩き起こし、
食パンを焼いて食べさせてる時間だろう。

今日はしなくても大丈夫なのかなあ
息子は今頃ちゃんと
朝ごはん食べてるかなあと
 
未だ帰れぬホームに
想いを馳せた。

 
 


Pocket
LINEで送る

コメント

タイトルとURLをコピーしました