夜のお店のお仕事体験談【前編】

番外編

この話は、大阪で一人暮らしを初めて、
お金に困っていた頃に、
高時給に釣られて
夜のお店でアルバイトをしたお話である。

アルバイトしないとなあ、と
思っていたとある日、
家のポストに、ピンクチラシとともに、
アルバイト急募のチラシが混じっていた。
 
よく見てみると、時給1300円と
書いてあるではないか。
内容は、ウエイターとのこと。
当時のアルバイトの平均時給は
だいたい800円ぐらいだったので、
そのチラシを見た瞬間、
急いで電話せねばと思った。
 
私はお店の詳細なぞろくに確認することなく、
チラシに書かれていた電話番号に電話をする。
番号は携帯電話だ。


プルルルルル、、、
 
ガチャ

「はい?もしもし?」

中年ぼい男性が出た。
 
「アルバイト募集のチラシを
見たんですけど。
まだ募集中ですか?」

 
会話の内容はあまりよく覚えないが、
面接をするから履歴書持参で
チラシに書いてある店まで来てくれという。
 
私は了承をし、電話を切った。
 
すぐ証明写真を撮りにいき、
コンビニで履歴書を買う。
面接は、明日の夜。
 
昼間は学校があるので、
履歴書は今日急いで完成させた。
 
あとは面接のみ。
いったいどんなお店なんだろう。
 
どんな仕事内容なんだろう。
 

 

ドキドキしながら面接当日を迎える。
 

 

学校が終わって
家に戻る時間が余り無かったので、
私は西梅田駅地下にあった、
餃子の王将
早めの夕食を取った。

面接の時刻まで時間が少しあったので、
王将でゆっくり時間を過ごし、
帰宅サラリーマンの数も減り始めた頃、
私はお店の場所である
東通り商店街
へ向かう。
 
今いる王将から東通り商店街までは、迷わず歩いて15分ぐらいだ。
しかし、あなどれないのが
梅田地下ダンジョン

一度迷うもんなら
一生
迷い続ける

ことになるだろう。

私は幾度なく
遭難経験
があるので
もう道順はバッチリだ。
 
大きな横断歩道を越え、東通り商店街に到着。
初めて来る場所だ。

東通り商店街は、
大阪屈指の歓楽街

キャッチも死ぬほどウロウロしている。

「梅田で飲もう」は、
だいたい東通り商店街で飲むことになる。

それぐらい飲み屋さんが多い。
社長さんとかは、東通り商店街ではなく、
近くの北新地に行くことが多い。

東通り商店街は、田舎もんがウロウロするには中々ヘビーな商店街だ。
 
東通り商店街の入り口で
一旦お店の場所を確認する。
チラシ記載の簡易地図を見る限り、
東通り商店街のかなり奥の方にあるようだ。
 
ふと商店街入り口左にあった
お店の看板
目が止まった。
「揚子江ラーメン」と書いてある。
 
そうである。笑い飯ので漫才で、
微妙に知名度が上がった、「ようすこ。
すこすこラーメンへ。」

あの揚子江ラーメンだ。
 
何度か飲み会の後食べたことがあるが、
正直微妙である。
しかし、飲んだあと食べると死ぬほど旨い。

飲んだあと
専用ラーメン
である。
 
間違っても昼間行ってはいけない。
 
昼間行くなら、近くにある、
トイレが全面鏡張りの
一風堂
をお勧めする。
そもそも揚子江ラーメンに行くきっかけになったのも、
一風堂が大行列だったためだ。
しゃあなしで行ったのが
最初だった。
 
しかし飲むと
なんでラーメンが
食べたくなるんだろう。
なにやらアルコールによる利尿作用で
体の塩分が足りなくなるかららしい。
それ以外にも色々絶対不思議な力
働いているはずだ。

と、ここでおもむろに、
ラーメンの写真を貼ってみた。
食べたくなったら
今すぐラーメン屋に行こう。

色々脱線するのが
このブログの特徴のひとつでもある。

時を戻そう。

 

 

東通り商店街の入り口に到着した私は、
人混みを避け、急ぎ足で向かう。
キャッチ
ゴリゴリ話しかけて来る。
 
フル無視。
 
商店街奥にあるお店へ向かう。
 
しかし、入り口付近は、チェーンなどの
大衆居酒屋が軒をつらねてたのに、
奥へ行けばいくほど
お店の雰囲気がガラリと変わってくる。
露出の激しい格好をした
お姉さん

話かけてくる。
 
もうこのあたりは完全にピンク街だ。
慌てチラシを再度確認する。
 
間違ってない。
 
目的地の店はピンク街のもうちょい奥だ。
 

 

嫌な予感がする。
 

 

しかし考えてる暇もないので、
とりあえず向かう。
 
地図の場所まできた。
しかし該当の店は見当たらない。
時間も迫ってるので、
ウロウロしていた
キャッチの
怖そうなスーツ姿のお兄さんに、
勇気を出してお店の場所をきいてみた。
 
「ああ、ここ、うちの店っすね。
あそこの階段を登って二階っすよ。」
 
目的地の店は螺旋階段を登った、
ビルの二階にあった。

outside spiral staircase


間に合った。助かった。

「いらっしゃいませー。」

お店の中に入る。
キャバクラかな?
お店は薄暗く、ほのかな
ピンクの照明のみだったが、
内装がキャバクラっぽかった。
キャバクラなど行ったことはなかったが、
なんとなくそんな感じがした。
 
「あ、すみません。面接に来た者ですが。」
 
「それでしたら、こちらへどうぞ。」
 
事務所へ通され、
でかいソファーに座らされる。
雰囲気は完全に
ヤクザの
事務所

みたいだった。

もしかして
とんでもないところに
きてしまったのでは
と、
ここにきて後悔
し始める。
 
もう
帰りたい。

 
事務所の窓から溢れる
看板のネオンのピンクのライトの光が、
薄暗い事務所をチカチカ照らす。
 

 

何分経っただろう、、、
 
ふと、阪急電車の改札付近で、
ヤクザに拉致られそうになった時を
思い出した。
[nlink url=”https://hachimakibozu.com/extra/anti-social-forces”]

なんでこんなことばっかり
起きるんだろう。
 
ガチャリ

背後の扉が開く。

「お待たせやで。」

スーツをバシッと着こなした
オッサンが入ってきた。

なにやら、このオッサンが
オーナーなんだそう。
手の指輪が凄い。
男版アパホテルの社長
みたいだ。
 
しかも、おっさんの歯は全部
金歯だった。
完全にの世界の人だった。
 
しかしオッサンは見た目より
ずいぶん温厚そうな感じがした。
 
オッサンもソファーに座り、
タバコに火をつける。
 
私は持ってきた履歴書をオッサンに手渡す。
オッサンが私の履歴書を眺める。
 

 

「へー。パソコンが得意なんや。」
 
私は履歴書の特技欄にパソコンと書いていた。

「はい。独学ですが。」

「じゃあこんなチラシ作れる?」
オッサンがチラシを見せてきた。

よく
ポストに入っているピンクチラシだ。

「はい。たぶん。」

オッサンの反応は上々で、
なんだか採用されそうな気がした。

もう不採用でいいから
早く帰りたかった。

 

 
 

 

「明日から来れる?」
 

 
 

採用されてしまった。
 

 
 

正直全然嬉しくない。
 
服装は
カッターシャツとジーパン以外のズボン、
あと革靴で来て、とのことだった。
スーツはセットで持っていたので、明日は、
スーツの上着なしでいいかな、と思った。
 
店を出る。

完全にお客さんみたいだ。

キャッチのお兄さんから

「またのご来店をお待ちしております。」
と声をかけられる。

まあ
明日も
くるけど。

心の中で呟き、
東通り商店街をあとをする。
 
商店街はすっかり
べろべろになったサラリーマンばっかりに
なっていた。
 
明日から毎日ここに来るのかな。
 
普段乗らない時間帯の遅い電車に乗り、
自宅マンションに帰る。
 
帰宅後は明日着て行くスーツを確認。よかった。シワクチャじゃない。

まあ、明日から頑張ろう。時給1300円だし。
 

 

翌日。
 

 

昼間は学校に行き、
最後の授業が終わるとともに
急いで自宅に帰る。
速攻スーツに着替えて家を後にする。
 
時間はまだまだ余裕がある。
今日も餃子の王将に行く。
 
晩飯を考えてる余裕がなく、何にも考えなく
とりあえず立ち寄る。
昨日と同じチャーハンを食べ、
バイト入り時間に近くなるまで王将で過ごす。
 
あの日食べた王将のチャーハンの味は
忘れない。
ただ、心に染みる
美味しさ
だった。
あの人混み溢れた西梅田の駅内の
汚い店内のカウンターの
王将で過ごす時間と空間が
バイト前の緊張を和らぐのに丁度良かった。

この、餃子の王将は、
地下鉄西梅田改札出て
徒歩30秒ぐらいの場所にあった。
駅地下にあり、店内はカウンターのみだが、
立地の良さから、常にサラリーマンで
満席だった。
 
このよく立ち寄った餃子の王将西梅田店も、
西梅田都市開発とともに、2011年に
閉店
した。

西梅田駅内がずっと中華臭してたので、
まあ、仕方ないとは思う。
 

 

チャーハンも食べ終わり、
しぶしぶ
東通り商店街
へと向かう。
今日は普段履き慣れない革靴だから
かなり歩きにくい。
カッターシャツも普段着ないから
なんだか恥ずかしい。
あまりにも似合わなさすぎる。

やだなあ、やだなあ、と思いつつも
無情にも最短で東通り商店街に到着。

しつこいキャッチももう慣れた。

目的地である商店街奥のお店に到着。
 

 
 
 

 

 
次回に続く

 
 


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