布団クリーニング詐欺にひっかかり10万円請求された話の続き
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何も考えずに
不用意にドアを開けてしまった
私がおバカだった。
ドアを開けてしまったことで、
嫌でも対応する形になってしまった。
しかし晴彦(顔が加藤晴彦に似ていたので以降、晴彦と呼ぶ)は、
訪問販売にありがちな、
ドアを足で止めたり、
強引に玄関に入って来ようとすることはなく、
終始玄関の外でポジションを取って
ニコニコしていた。
悪い奴ではなさそうだ。
ファーストコンタクトでそう思ってしまったので、
警戒心は最初から無くなっていた。
ただ、こいつは何かをしにきたのは
間違いないと思った。
春彦が口を開いた。
なにやら最近このマンションの近くに、
クリーニング店を開業したらしく、
営業も兼ねて、
その挨拶まわりにきたとのこと。
で、今、車に
移動式の
布団クリーニングマシンを
積んできてるから、
サービスで
布団をクリーニング
しますよ、と言うではないか。
一人暮らし経験のある方は分かるが、
こと、かけ布団に関しては、
洗濯したり干したりするのがクッソ大変なので、
買ってから
一方的に汚れていくだけに
なりがちだ。
男なら色も褪せりまくり、
買った時の色を忘れるぐらい、
平気で数年は使い回し
し続けるだろう。
だから、
無料でクリーニングしてくれるなんて、
なんてありがたいんだろうと思い、
何の疑いもなく、
突然やってきた
素性も分からない兄ちゃんに、
数年愛用している汚ったない布団を
何の疑いもなく
渡してしまった。
汚ったないとはいえ
長年毎日愛用していたので愛着はある。
全く女っ気のない
一人暮らし生活だったので、
というか全面アイドルポスターまみれの
キモい部屋で
生活していて、
女っ気もクソもないだろうが。
私の布団は愛液なんぞ
びた一文染み込んでない、
野郎100%濃度の布団だ。
クセエ布団を春彦に渡すのが
若干申し訳なかった。
布団を渡す際全面モーニング娘。の
ポスターを見られた。
晴彦は小声で
「スゴイッスネ」と
苦笑していた。
恐らくモーオタがバレた。
まあいい。知らん奴やし。
布団を渡す際、クリーニング時間が
どれぐらいか気になったので聞いてみた。
晴彦は、
「この重さと大きさなら30分ぐらいっすね。
まあ、その間、
モームスの歌でも聴いて
待っといてください。
♪日本の未来はwowwow♩」
と晴彦が
調子に乗って
小馬鹿にしてきた。
私を小馬鹿にしたことより
モーニング娘。のことをモームスと
略したことに無性に腹が立った。
そうなのだ。当時のオタは、
一般人がモーニング娘。のことを
モームスと略して呼ぶことに
無性に
腹が立つ人種
だったのだ。
ちょっとイラっとしつつも、
晴彦から時折見せる
隠しきれないチンピラ感を感じて、
少々怖くなってきた。
早く帰って欲しかったので、
私は布団を渡した。
晴彦は笑顔で汚ったない布団を
抱き抱えて
エレベーターに消えていった。
あまりにも
汚くてクセェ布団だったので
マンションの外まで
移送されるのが
少し恥ずかしかった。
何分経っただろうか。
ノックととともに
内玄関のチャイムが鳴った。
以外と早かったなぁと思いつつ
ドアを開けると、
春彦とともに
黒いスーツを着た
見知らぬ大柄の男が居た。
手にはスーツケース。
さっきまで春彦は
玄関からずっと外に立って
会話していたのに、
2人になった途端
突然強引に
部屋の中に入って来た。
大柄の男は
思いのほか背が高く
かなり威圧感があった。
終始2人は
ニヤニヤしていたが、
大柄の男は
目が全然笑ってなかった。
2人は玄関から部屋に入り、
私が外へ出難くするように
部屋の入口で座った。
完全に籠城されてしまった。
さっき持っていかれたままの
自分のクセェ布団が気になった。
突然やってきた自称クリーニング店員2人に
籠城されてガクブルな私。
生きた心地しない。
この部屋に20人ぐらいいる
辻加護の
純真無垢な
笑顔も
今や
何の救いもならない。
晴彦があとから連れてきた
大柄の男が、
持ってきたスーツケースを開けた。
中には布団が大事そうに入っていた。
人生の三分の一は布団の中で過ごすから、
いかに布団が大事なのかを
煌々と説明しだす大柄の男。
晴彦は「そうそう。」と
終始合いの手をいれるだけ。
晴彦は
この場をつくるためだけの
橋渡し役要員だ。
時折晴彦の携帯が鳴っては
ゴニョゴニョと誰かと話している。
まだこいつらの他にもおんのかよ。
と、まだ見ぬ戦闘員に
戦々恐々する私。
そういえば私の布団の姿が見えないので、
晴彦の言うとおりならば
今頃移動式クリーニングマシンとやらで
クリーニング中なのだろう。
電話の相手も
その作業スタッフなのかな。
まぁ早い話が
人生の大半を
布団で
過ごすから、
この期に
いいものに
変えませんか?
というか持ってきた布団を買え、
ということである。
晴彦の来訪の意図が分かった途端、
あーなるほど、こういうことね。と納得した。
肝心の布団の金額だが、
皆様御察しの通り高額だった。
細かい金額は覚えていないが、
極端に法外というわけではなく、
割と頑張ったら
払えそうな金額だった。
振り込め詐欺にありがちな、
微妙な金額だから
思わず振り込んでしまうのと同じ
被害者心理だ。
法外な値段ではないとはいえ、
今の私からしてみてば十分法外だ。
今汚い布団をどうにかしたい、
買い替えたい気持ちは前からあったが、
そんなにホイホイ
払える金額ではなかった。
正直布団は、
「お値段以上♩」で
十分なので。
てか今、用意できない。
手持ちマネーが小学生の小遣いより少ない。
当時はどこのコンビニにも
銀行ATMがあるわけではなかった。
仮に欲しくても買える状況ではない。
私は2人に布団は要らない旨を伝えた。
嫌な顔するかと思いきや、
「そっすよね。僕らでも高いと思いますもん。
まぁ、これ(布団の販売)は形だけっすから
気にしやんといてください。笑」と
言うではないか。
拍子抜けした。てっきり、
買うまで
帰ってくれまテン
かと思った(当時は放送していない)。
ちょっと安心したが、
連れ去られたままのMY布団が気になった。
それに本当に
無料でクリーニングしてもらえるのか
気になってきたので、
改めて聞いてみたら
クリーニング料金は
かかる、
と突然言ってきた。
話が違うと反論すると、
“サービス” します、
とは言ったが、
“無料”で、とは
一度も言っていないと言う。
晴彦曰く、
サービスは
無料という
意味ではない
と無茶を言う。確かにそうだが。
一休さんのとんちに
言い返す言葉が
見つからなかったので、
今すぐ預けた布団を
返してくれとお願いした。しかし、
晴彦は、
クリーニングマシンは
途中で止めことは無理だという。
大柄のスーツの男は終始こちらに
無言で睨みをきかせている。
私はどうしても
お金を払いたくなかったので、
早く止めてくれ、と
ひたすら悲願する。
すると晴彦は、
やれやれという感じで
どこかに電話し始め、
クリーニングの中止を伝える。
私はホッとした。ところが数分後、
晴彦に電話が鳴る。
晴彦は「え!?」という感じで
コソコソ話し始める。
そして時折
「あっちゃー」「マジスカ」と、
なにやら物騒な単語
が聞こえる。
春彦の電話が終わる。
晴彦曰く、
クリーニングマシンを
無理に途中で
止めてしまったため、
何百万もかけて先行投資した、
最新の
移動式クリーニングマシンが
故障してしまったのこと。
晴彦と大柄のスーツ男が
マシン購入代200万を
弁償しろと詰めてくる。
怖かった。
私はガクブルだった。
私はとんでもないことをしてしまった、と
半泣きになっていた。
私は弁償するするほど
お金が無いことを彼らに伝えると、
彼らは
人間失格とばかりに
私を責め立てる。
晴彦は顔を真っ赤にして、
せっかく
布団のクリーニングをしてあげようと
サービスしたのに、恩を仇で返された、と、
恩着せがましいブチ切れをかましてきた。
大柄の男はひたすら戦闘態勢で、
睨みをきかせ続けている。
どちらかというと、晴彦よりも
今にも殴りかかってきそうな
大柄のスーツ男の方が怖かった。
本当に殺されるかと思う位、
彼らの怒りがひしひしと
伝わたので、
こっそり110番しようかと思い、
こっそり携帯をかけようとしたが、
案の定バレてしまい、
やれるもんならやってみろと、
さらに彼らを怒らす羽目になってしまった。
彼らは、
私が本当に
お金がないことを悟ったのか、
特別処置として、
1ヶ月だけ待ってくれる、
とのこと。
ただし、約束金として、
今すぐ10万円を渡せ
という。
しかし、今私は小学生の小遣い程度しか
持っていない。
ない袖振れない、とは
まさにこのこと。
彼らは30分だけ
マンションの外で待っているから、
今すぐセブンイレブンの銀行ATMで
10万円をおろしてこい、と言ってきた。
私は首を縦に振り、
彼らに部屋から出て行って
もらった。
やっと地獄から解放されたと
思った。
しかし今の私には
銀行口座にすらほとんどお金が入っていない
超貧乏学生。
生活費は、ほとんど趣味に消えていた。
彼らが出て行ってから数分後、
外玄関のチャイムが鳴る。
インターホンに出てみると。
相手は晴彦だった。
クリーニングを中止した布団を
持って行きますよ、とのこと。
正直もうあいつらに二度と会いたくは
無かったが、
布団を取り返さねばと思ったので
外玄関のロックを解除する。
汚ったない臭い布団だが
長年苦楽を共にしてきた
大事な相棒なので、
そこはちゃんと返してくれるのか、と
ホッとした。
ドアのノックとともに、
内玄関のチャイムがなる。奴らだ。
また知らない
クリーニング屋が
増殖してても困る
ので、
念のため覗き窓で確認すると、
私の布団を抱えた晴彦が1人突っ立っていた。
よかった、スーツの男はいないようだ。
ドアを開けて晴彦から私の布団を受け取る。
相変わらず臭くて汚かった。
しかも布団に温もりは全然感じない。
布団を預けた時のままの
まったく同じ状態で帰って来た。
まるでさっきまで
どこかに置いてた
だけのよう。
例えクリーニングの途中だったとしても
多少の変化はあるだろうに。
しかしながら、
また面倒なこと言われそうなので、
あえてそこに突っ込まなかった。
布団を受け取ると、
すぐさま玄関のドアを閉めた。
晴彦はドアの前をやや強めにノックし、
「10万頼みますよ!
あと30分後に来ますよ!」と念押しする。
とりあえず布団は帰ってきたが
依然ピンチのまま。
恐らくや奴らはマンションの外で
車の中で私の行動を監視しているだろう。
彼らがやってきて一時間以上経った。
今はもう21時過ぎ。
あいつらのせいで、
まだ晩御飯は食べれていない。
少々安心したせいかお腹が空いてきた。
&
というかそろそろ
家を出て駅に向かわないと
22時丁度発の
新宿行きの深夜の
高速バスに間に合わない。
遅くても9時半までには
家を出ないと厳しい。
あと30分もない。
出発の準備はできているが、
恐らくマンションの外で
彼らがどこかで見張ってるだろう。
うかつに外に出られない。
コンビニに
お金おろしに行くフリして
こっそり駅に向かおうかと思ったが、
大きなリュック背負って
コンビニもおかしい。
かといって手ぶらで遠征も厳しい。悩みに悩んだ結果、
私は
実家に電話した。
110番しようかと思ったが、
昔、父が大阪府警に友人がいると言っていたのを
思い出したのだ。
実家にかけると早速父が出た。
久々に聴く父の声と
さっきまでの恐怖体験からの安堵感から
思わず泣いてしまった。
泣きながらも
さっき起きた出来事を
父に詳細に伝える。
父は分かった、と言い、
大阪府警の友人に連絡取るよう
約束してくれた。
父の電話を切ったあと、
ひたすら警察が来てくれるのを待ち続けた。
長い時間に感じた。
そし数十分後、
外玄関のチャイムが鳴った。
晴彦と
愉快な仲間達
なのか、
警察の方か、
ドキドキしながら
インターホンで対応すると、
淀川けいさつ生活安全課の刑事さんが2人、
私の様子を急いで見に来てくれた。
案の定刑事さん達にも
モーオタがバレた。
父も淀警も仕事早い。
私は刑事さん達に、
さっきまでの出来事を話しした。
そしてどうしても
22時に高速バスに
乗車しないと行けない旨を伝える。
刑事さんは車で安全に
駅まで護送しますよと言ってくれた。
私はマンションの前に止まってた
乗用車に刑事さんと乗った。
乗ったのはまさかの覆面パトカー。
車内は普通の車だった。
クリーニング屋の
あほどもよ!
かかってこれるもんなら、
今かかってこい!
当然何事もなく駅に着き、
刑事さん達に御礼と敬礼をし、
駅の改札に向かう。
この時間ならなんとか間に合いそうだ。
その日は何とか間に合った。
しばらく晴彦は家に尋ねてきそうだが
「あとは知ーらない!」とバスに乗りこむ。
しばらく家を空けてたおかげか、以後彼らがくることはなかったが
貧乏のお陰で10万円を払わなくてすんだ。
しかし、しばらく外を歩くのが怖かった。
彼らは私以外にも
たくさんの気の弱い人を
布団クリーニング詐欺で
騙し続けただろう。
今あの時の彼らは
今頃40歳前後のはず。
今頃、暖かい家庭を
築いている奴もいるだろう。
そして過去の罪を償うことなく
今何事も無く
のほほんと生きているはずだ。
今でも彼らの顔は
忘れないし、
彼らの行いは
いまだ許せない。
今関西で一人暮らししている人は、
クリーニング店の挨拶まわりの人には
絶対気をつけて頂きたい。
もう17年以上は経っているが、
彼らの手口はシノギの稼業として
代々うけつがれているはずだ。
少しでも被害者を減らしたいという思いで
ここで告発します。
くそー覚えとけよ晴彦!
てめーが犯した若い時の悪事を
今から拡散したるぞ!
絶対生き難いよう
したるからな。
覚えとけよ!
あと、TUBEの前田さんを
ガリガリに痩せさせて
タレ目にして
ヒゲを濃くした顔の
スーツの男、お前もじゃ!
てめーらの顔を
忘れた日は
無ぇーからな!
震えて眠れ!
ばーか
おわり
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