眠罪【闘病記(52)】

闘病記


4月3日に行ってきますをしてから
家に帰れぬまま、
半年
が経とうとしている。
 
桜を一度も見ずに咲いて散り、
気がつけばもう夏は後ろ姿。

私はあの日から
時は止まったまま
だが
 私が入院している間に
新元号
に変わったり、
なんとかペイ
が乱立したり、
日韓
がややこしくなったり、
世間はしっかり時間が過ぎている。
 
私がリハビリで必死で半歩進んでも、
世間は私の2歩先を進んでいく感じがする。
 
 
外の世界と今私がいる現実とでは
時間の進み方が違うように錯覚する。
 
世間は、
映画インセプションでいうところの
現実世界
で、

私が今いる入院生活は夢の世界。
 

4月4日からこの世界に入りこんだまま。
 
とにかく今は時間が経つのが怖い。 
 
だから私は
昼寝をしない。

 
入院が始まってから、
どれだけ睡魔が襲って来ようが、
ベッドに移るときは
消灯後、
というのは、
自分で決めたマイルール。
 
PTの先生から、一日中座りっぱなしは、
ハム(ハムストリング)がカチカチになるから、
時々座るのをやめてください。
と、言われたので、
脚を時々伸ばして脚だけ
休むように心がけている。
 
どうも座りっぱなしも
麻痺回復に良くないようだ。
 
でも日中、
寝ることは絶対しない。

 
寝ている間は、さらに
現実世界の時間の流れが
早くなりそう
だから。
 
今の私にとって
睡眠は大罪。

 
寝ている時間があれば、
自主トレーニングや読書、
情報収集など、
時間を実りのあるようにしたい、
時間を無駄に使いたくない、

という思いを最近こじらせてしまい、
 
患者さんと、たわいもない会話、
私の大好きなお喋りを勧んで
しなくなってしまったことに気がついた。
 
病棟でウロチョロしてる、おしゃべり大好き
じーさんの患者さんとも心なしか
避けるようになってしまった。
 
これは良くない。病み始めてるのか私は。
でも1年の半分も、こんな入院生活を
ずっと続けていれば誰でも感じるであろう。
 
 

睡眠という罪を。

 
 


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