病院に内緒のバースデーランチ【闘病記㉝】

回復期


もうすぐ私の誕生日だ。
 
リハビリ入院が始まった時、まさか自分の誕生日までリハビリ生活が続くとは思わなかった。
 
せっかくの誕生日だし、なんか旨いもん食わしたるわ、と、
 
実家の両親がわざわざ田舎から大阪まで面会に来てくれた。
 



 
今日のバースデー外出ランチの件は一週間前から聞いており、
この日のために外出届も出していた。
  
何を食べようかずっと考えていた。
 
今はどんなところでも行けることは出来ない。
車椅子でも問題なく入店出来る店が絶対条件だ。
完全バリアフリーとはいかないが、
通路が狭かったり、
乗り越えられない段差があればアウトだ。
 
今回脳卒中によるリハビリ入院だが、基本的に外出に関しては何を飲み食いしても大丈夫なようだ。
 
ただし
 
アルコールはもちろん
 
ナマモノは絶対ダメ!
とのこと。
 
ナマモノについてはノロなどに万が一感染した場合、
入院自体がしばらく無理になってしまうからだ。
 
それに院内でパンデミックでも起こそうものならとんでもないことになる。
 
リハビリ入院は高齢者の患者も大変多い。
 
私は何を食べようか悩んだ。
 
久々の下界飯である。
 
中途半端に決めたくない。
 
私はめちゃくちゃ悩んだ。
 

悩みに

 
悩んだ
結果、、、

 

私は、、、

 

くら寿司にした。
 
ゴリッゴリのナマモノであるが、
 
そんなの関係ねーオッパッピーである。
 
私は肉より、生の魚が食いたいのだ。
 
反対する両親に「外食チェーン最大手のくら寿司さんがホイホイ食中毒なんぞ起こすわけない」と、
 
身勝手な
バースデーランチ
が、
しめやかに行われた。
 
通算38回目のちょっと早い誕生日である。
 
気になったバリアフリーについてだが、
昨日行った大阪のとあるくら寿司であるが、
 
ビビるぐらいの
完全バリアフリー
だった!
入り口にエレベーターもあり、店内も広々、1センチの段差もない。
トイレもしっかり身障者用も完備。
文句の付け所が無い。
 
バリアフリーの見本のような店内だった。
 
おそらく、こんな体にならなければ
この感動は味わえなかっただろう。
 
家族全員が幸せな気分になれた。
 
ありがとう!
くら寿司!

 
 

気合い入れて一週間前から予約しておいたお陰ですぐ席に案内された。

わくわく。
 
久々の回転寿司に
 
テンション

爆上がり!
 

私は注文を待ってられなかったので、回っている寿司を早速取って食べた。
 
 

もぐもぐ。

 
 

違和感
があった。

 
私はその違和感を騙すように食べ続けた。
美味しいと話題のくら寿司のラーメンも食べた。ノンアルコールビールも飲んだ。
我慢し続けたリハビリ入院生活で
溜まりに溜まった欲が爆発
したように飲み食いした。
その違和感を両親には告げずに。
 
楽しかったランチも終わり、夕方両親と別れた。
わざわざありがとう!
 
かーちゃん!とーちゃん!
 
 
その夜、くら寿司の時の違和感がようやく分かった。

 
 

 


味がしなかった。

 
 

 

大好きなうなぎ寿司や
ラーメンを食べた時も
ノンアルコールだが、ビールを飲んだ時も、
 
 

 
全く味を感じなかった。
 
 

 
あれだけ楽しみにしてたのに。
 
 

 
両親がしきりに「美味しい?」と聞いてきてきたので私は違和感を感じつつも「美味しいよ」と答えていたのをふと思い出した。

 
 

 
味覚も
麻痺してると気付いた瞬間だった。

 
 

 
両親に申し訳ない気持ちでいっぱいになり

 
 

 
私は、
 
 

 
一人、
 
 

 
病院のトイレで、

 
 

 

声を殺して号泣した。

 
 



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